甲状腺は甲状軟骨(のどぼとけ)の下で、気管の前に蝶が羽を広げたような形で存在しています。大きさは通常成人で縦幅約4cm、重量約15〜20gですが、通常自分で触ってもまずわかりません。甲状腺は甲状腺ホルモンを産生・分泌し新陳代謝を促進し精神や身体の発育に重要な役割を果たしています。
甲状腺の病気について
甲状腺にはいろいろな病気が発生しますが、頻繁にみられる病気はそれ程多くありません。最も有名なのはバセドウ病と橋本病でしょう。また、当然ながら甲状腺癌も発生します。それぞれが極めて特徴をもった疾患ばかりです。以下代表的疾患に対して簡単に説明します。
バセドウ病
甲状腺ホルモンが無秩序に過剰分泌される病気で、自己免疫疾患の代表です。甲状腺を異常に刺激する自己抗体が体内で産生されるために起こると考えられています。典型例では甲状腺はびまん性に腫大し、症状として動悸・発汗過多・食欲亢進・体重減少・情緒不安定・眼球突出・手先のふるえなどがみられます。甲状腺腫があり、血液検査で甲状腺ホルモンが高値、甲状腺に対する刺激抗体も高値を示せば診断はほぼ確定します。
橋本病(慢性甲状腺炎)
女性に多い病気で甲状腺はびまん性に硬く腫大します。橋本病も自己免疫疾患の一つですが、バセドウ病と違って体内で産生された自己抗体により甲状腺組織が障害され次第に甲状腺ホルモンが低下する方向に向かいます。症状は皮膚乾燥、易疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、便秘、脱毛、傾眠傾向などがみられ、甲状腺機能低下によるものです。また、甲状腺機能低下があると脂質代謝異常がみられるため高脂血症や慢性肝炎と誤診される場合があります。採血で自己抗体を測定して診断することが多いのですが、一部組織を生検したり、針を刺して細胞を調べることもあります。
甲状腺癌など
甲状腺癌は若年者から老人まで幅広く発生しますが、一部の癌を除いては悪性度は低く、全身転移も少ないのが特徴です。また、他の癌と違い転移しても予後を期待できるものです。治療は外科的切除が主で甲状腺片葉切除あるいは全摘術となります。別に腺腫様甲状腺腫など良性のフ腫瘤も発生頻度は高く、著明に腫大した場合や癌を否定できない場合などに手術の対象となります。